こすぎ法務ジャーナル No.17

2013年3月号

終わりなき遺言探しの旅

いや~,空前の遺言ブームがやってきましたね!(あれ,来ていないですか?)
特に財産のなさそうな人も,書店で遺言作成キットを購入して,遺言書を作成している時代です。FACEBOOKの処理はどうするんだとか,細かいことまで考え始めると,悩みの種は尽きません。
確かに,遺言書があるかないかによって,その後の相続手続が全く変わってきてしまいますので,相続に際して,遺言の重要性は強調してもしすぎることはありません。
ただ,せっかく書いた遺言書が見つからなかったら,どうなるのだろう…と疑問に思われたことはないでしょうか。
そこで今回は,遺言書の発見方法について書いてみたいと思います。

遺言書の発見方法

1.遺言の保管方法

実は,遺言書の保管方法については,特に民法上の規定がありません。いくら遺言を書いていたとしても,発見されなければ,法定相続をせざるを得ないので,実は,遺言書の発見というのは結構重要なのです。にも関わらず,遺言書って基本的には発見しにくいことが多いのです。遺言書を作成する人は,いろいろな事情を考慮して,法定相続とは違った内容にしていることが多いと思われます。したがって,必ずしも相続人全員が納得できる内容ではないことが多く,身近な家族に知られると困る…ということで,遺言書作成の有無や保管場所について家族に明らかにしていないということも結構あるのです。臨終の際に遺言の存在をきちんと伝えることができればいいですが,そうそううまくいくものでもありません。
という訳で,相続が発生した場合,相続関係者としては,「いつ探すのか?」「今でしょ!」とばかりに遺言書を探すことが必要となります。

2.遺言の探し方

遺言には,自筆証書遺言,秘密証書遺言,公正証書がありますが,公正証書遺言の場合,遺言書原本は公証人役場で保管されています。そのため,公証人役場で作成された公正証書遺言については「遺言検索システム」を利用して全国の公証役場について,遺言書の有無を一括検索することができます(ただし平成以降に作成された遺言書に限られているようです。)。公証人役場で作成された秘密証書遺言についても,記録は残りますので,遺言の有無については確認できます。
というわけで,公正証書遺言は,発見しやすいという点でも優れています。公正証書遺言の場合,証人もいますし,遺言執行者が定められることも多いので,遺言書が発見できなかったということはほぼないと思われます。
自筆証書遺言については,とにかく足を使って調べるしかありません。親族等への聴き取り調査はもちろんのこと,遺言者が生前関係していた病院や介護の関係者,親しい友人等にも問い合わせるべきです。介護関係者は遺言者と一緒にいる時間も長く,意外と深い話をしていることもあるので,面倒がらずに尋ねてみましょう。
また,遺言者が生前依頼していた法律専門家(税理士,弁護士,行政書士など)が分かった場合には,照会してみるべきです。
後は,自宅等を徹底的に探すことも重要です。金庫とかは誰でも探しますが,本の間に隠すというタイプも少なからずおられます(写真や書類を本に挟むというのは,私もついついやってしまいます。)。

3.旅の終わり

もっとも,遺言書を探し続けることは,それこそ‘終わりなき旅’になってしまいます。
閉ざされたドアの向こうに新しい遺言書が待っているかも…という思いが相続人を動かしているのかもしれないですが,どこかで終わりにしなければ相続手続を進められません。
もちろん,遺言書が発見されたとしても,本当にそれが有効かどうか,遺言の有効性が激しく争われることもあります。個人的にも,遺言無効を求める紛争に関わる機会が,最近,増えてきました。
遺言は,遺言者の最終意思を実現できるツールであり,正しく活用されれば,相続時の紛争予防にもなります。
自分史を作成するような気楽な気持ちで,遺言を考えてみるというのもいいかもしれません。


法律時報

2013/3/21 ◎企業税条例は違法,神奈川県に19億円返還を命ずる。
神奈川県が2001年に制定した臨時特例企業税条例は地方税法に違反しているとして,いすゞ自動車が納付済みの税金等合計約19億円の返還を求めた訴訟で,最高裁第1小法廷は,課税根拠の条例は「地方税法の趣旨に反して違法で無効」と判断。神奈川県側勝訴とした東京高裁を破棄し,いすゞに全額を返還するように命じた。

今月の格言

「私が知っているドーピングはただ一つ,努力だ。」(ロベルト・バッジオ)

編集後記

当事務所は4月で開設から満3年となります。今後とも,地域貢献を目標に,努力していく所存ですので,よろしくお願い致します。なお,今回の記事は,名曲に乗せて法律知識を解説するという野心的な(?)試みだったのですが,著作権法という高いハードルを越えることが出来ず,通り一遍な解説に終始してしまいました。残念です。

こすぎ法律事務所

弁護士 北村 亮典
弁護士 石坂 想
弁護士 川瀬 典宏

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